2010-01-01から1年間の記事一覧

なぜに、Twitter!(1) 前回の記事を載せたあとに、ほどほどに…と金沢方面から何か聞こえた気がするが岐阜と石川の間は、白山が邪魔して聞こえません(笑) 龜鳴屋さんの書庫は1980年代の詩集がずらりと並んで、かなりな低温の中だったが、見るもの見るもの懐か…

いきもの 家鴨の池にたたずんで 傷ついた翼の下蛆虫に気づいて追いかけては噛まれ そうしたことを話してやると おかしい仮名遣いで 面白がっていた あなたが書いたものだったろうか たぶん あなたの遺伝子は長く 私も負けずに長い 傘にも入らない意地を張り…

初校の金沢 詩集『二月十四日』の 初校に向かった金沢は吹雪の彼方にあった。北陸本線は暴風のためにあちこちで止まったが、夜半の列車の乗客達は長閑な風情でビールなどをあけ、アナウンスのない時間に苛立つこともない。私も駅で買ったウエッジ文庫の犀星…

ブルーシート 黄土色の上着を着ていたはずだ 黒い車に点々と 花びらがはりつき 遠い遠いことを、 寝ころんで聞く 黄砂が季節を つくりかえているからだろうか 上着は持っていない 車は比喩ではなく黄色に変えた 投げた携帯から数えて もう何台目になったろう…

「原稿を送る」の頃

「2月14日に発売となると、11月中に原稿をいただければ」と勝井氏に聞き、京都から帰ったその日から、手製の詩集と、ブログの束を取りだして自選を始めた。 手製本は原稿をほうぼうにある私の茶室(ネットカフェ笑)でPCを使って書いたが、11月は、ネットカフ…

龜鳴屋・勝井氏との出会い 善行堂フルオープン前日の10月31日は、白い陽射しの照り返しが鋭い、夏の日和めいていた。 銀閣寺口善行堂へは名神の京都東インターからずっと疎水沿いを北に行けば20分くらいで行くことができるのだが、その日は、道をよく調べな…

手製版『二月十四日』 誕生日に発行した手製版の『二月十四日』だが、手元に残っているのは、試作品の一冊のみ。表紙には白いコピー用紙でマゼンタで書名が書いてあり、裏表紙はピンクの和紙や少し厚目の紙を使い、ステープラーで止めてチョコレート色の製本…

きのこがたり 雷がいいと聞いたおのこは何万本何千本の原木を一本一本叩いて歩いたという 山のともだちは伝説が書いてあるのりしろではなく日々をかたり一本一本コードを届けてくれる さきの祖が育てたナラのほだ木はひをあびて木のにくしつに今年への語らい…

一昨晩は「外事警察」(NHK)の再放送がやっていたらしい。初校に訪れた金沢、龜鳴屋・勝井氏のお宅のリビングルームで、この番組の最終回を観た。勝井氏と奥様の解説を聞きながら眺めた、渡部篤郎の不敵な表情が、暗い画面と共に忘れられない。 4月に詩を…

去年の3月23日、私は近くの本屋で購入した『女子の古本屋』(筑摩書房)を読んでいた。この岡崎武志さんの著書を購入したのは、愛読していたエルマガジンの連載「天声善語」の山本善行さんの話にその頃何度も書名が出ていたこと、そして、行ったことのある書…

2004.3.19 君の父は 家族のために生きた 君は人のために生きている 行き違いに追われる夜もあるが あの 静かな背中を君も持つ 夜の東名を飛ばし 枕頭についた日を覚えている 最後の顔には 笑みがあり 低い語らいを 安らぎに導いていた そして この七年の日々…

Twitter「ハクモクレン」000214 岐阜市則武西の緑地にあるハクモクレンが満開間近。去年、配達で通りかかったが、殺風景な荒れ地が、一本の木のおかげで、そこだけあかるんでいるかのような印象を受けた。 for east 先日どこかで花を見かけてハクモクレンと…

born free木立の向こうで渦巻く音がする 立ち竦んで 飛び越えない 名札をつけたカーディガンくろぐろといく流れ 落花の下で 田螺は細かい泥の中で 泡をつぶやく 小さな窓にその場所を 表示してみる まどろんでいた時から 何が世界をひらくのかと 気づいてい…

種 気づいたのなら 埋めてしまおうか 嘴は烏になり 後ろ足は猫になり この手は栗鼠に変えよう 蚯蚓のように こころゆくまで 地面の味をしがみながら ウォーリードールも 焼き損じのナンも 胸を包んだ掌も 満ちた灰皿を片づけるように からりと 翻って、 老い…

青春 待っている間に 髪は伸びて 切れば冬の香りがした あの 国道沿い 埃にまみれた ブレザーの線を 即座にえがく ロウバイが皺をのばして 天を指さすのを見て そこに出ていきたかったのか 庇の奥で 誰もいない将来のことを 考えるのは たやすくない 上京も…

悪態 この 背中を見ながら 死を 考えている人もいる たとえば おいつめる何かがあって 煩悩の頸を 絞めたくなったとしても あんたが いなくなったって きりがないのだ 執着を手放すために この世から消えても ささやかな形見ごと かたづけられてしまう ああ …

群鳥

群鳥 並べた窓に 頭ばかり映っている 床に伏せたいろのない手に気づき 合わせて組めば脂肪が黄色く あとから塗った 唇だけかたちがある 畳を清めたその場所で 何年もかけて 荷がつくられる 気づきもなく 目もなくなり 長男は山狩りに行き 子の声もしない あ…

マルク あの時に 涙は涸れたらしい 古本有時文庫の裏は もう駐車場だ おまえがおりられなくなった柿の木は残ってるけど スポイトでミルクを与えた日々 お前はメロンが好きだったっけ 牛のような模様だったが 瓦にねころべば しなやかで いいおんなだったよ …

そして三月

金子彰子(かねこしょうこ)詩集『二月十四日』は龜鳴屋のホームページからご注文を承っております。 http://www.spacelan.ne.jp/~kamenaku/ 明日から三月です。詩集の巻頭に載せた「東」を発表したのは高校生の頃でした。(写真は初出)その頃、数学で赤点…

セルフサービス

この世をちいさく折り畳み頭にしまったあなたたちよ 児らをせめて野に放て 箪笥とダンスを踊るために朝があるのだろうか 家族を目にいれず車のキーをひねりまた時計の針を 蜜蝋で固め、 かの時に至る日々を 帳簿に記すことが そんなことが 最大の大事である…

龜鳴屋(カメナクヤ)より金子彰子(かねこしょうこ)詩集『二月十四日』が、無事刊行されました。写真は、宅配便の営業所で受け取り、感激しながらすぐ撮った書影、そして、今回の本は検印紙に検印を一枚ずつ押したので、その様子を載せてみました。こうし…

いよいよ、刊行です

詩集『二月十四日』について、先日告知させて戴いたところ、さまざまな皆様から、ご紹介、ご予約を頂いて、本当に感謝しております。 明日、いよいよ刊行となります。(亀鳴屋さんのご紹介は下記にあります) 思えば、2009年の3月12日に山本善行さんの「古本…

際限

ヒアシンスばかり鼻についた 保健室の追試の日 わからないのは 数式ばかりではなかったんだ 頭のなかに 三月になると たまに落ちる穴がある アドレスもなくし 仕事もなくし また10年たったのだ ファイルや脱ぎ捨てた ヒトガタをしょって 倉庫の契約にいく そ…

二月十四日

詩集「二月十四日」は今月20日頃、龜鳴屋(カメナクヤ)より刊行予定です。(予約アドレスは下にご紹介してあります) 15歳で詩を書き始め、雑誌に掲載されるという機会を得たものの、いつしか書くことをやめ、その後20年間は、詩とは無縁の生活をしてきた私、金…

夜の友

人の果実を欲しがらなくとも 隠れて本は読めばいいの だ 心に刃を沿わせて ここにない金のために なぜ幸いじゃないと 思わなくてはいけないの か力のない囁きは 窓に斜めに流れる あなたはだれなのか だれのわたしを 月と雨の156号線にて 決別の方法をさがし…

裸足

勤め人のために 靴下は朝にぶらさがっている コーヒーに身を屈めると ミラーの裡で 隣の車のも隣の車も せわしい身支度裸足では出ていかれない ささやかな苦しさ 押しとどめられる 掌も見えないのだけれど この時刻の空の低さ 櫛をしまって 順番に出て行く時…

水の番

放置する権利/見過ごしの妥当/あたりまえの不自由を与えられて 堤防の穴に手をつっこむ少年の神話を体現しているつもりなのだ おばさんなのに 溺れまいと 昼間の家を 親も子も預け 妻も働きに行くし 自らも車に閉じ込めているあなたたちよ 仕方ない身なが…

睦月・ptit古本市

徒然舎さんで告知中のマウアデリカテッセンで開催中の「睦月・ptit古本市」に行って参りました! 私は車で出掛けたのですが、駅から行かれる方は、伊奈波通りのバス停から進行方向右を見ると「十六銀行」と書かれたビルがあって、それが東で、お店は道沿いの…

茶話

長閑な時代より 小さな糧を分けあってきた今日もまた 菓子を卓に並べるのだ お互いに 割れた爪でかろうじて 世間にぶらさがっているよふっても出てこない 様々な小槌の噂 そのうち係累を嘆き 忘れた引き出しの底を たまに眺め合う 今に滝のある平原へと 車を…

生涯をかけて寄り添うものから なぜに 逃れる手段を 探し あるいは さまざまに現れる 乗り換えのプレートを 忙しく見ているのだ 仕方なく 一生ものとして 身近なものを見つめるならはじめから 手を離さなければ いいものを 子どもは砂場に立ちつくし手をかじ…