二月十四日

 詩集「二月十四日」は今月20日頃、龜鳴屋(カメナクヤ)より刊行予定です。(予約アドレスは下にご紹介してあります)


 15歳で詩を書き始め、雑誌に掲載されるという機会を得たものの、いつしか書くことをやめ、その後20年間は、詩とは無縁の生活をしてきた私、金子彰子(かねこ・しょうこ)です。
 2009年3月16日、近所のとんかつ屋で『女子の古本屋』(岡崎武志筑摩書房)を読んでいた私が、著者の日記を検索したのは、ただの思いつきに過ぎませんでした。まさかそこに自分の名前を発見するなとは想像もつかないことでした。2009年2月18日の記事を読まなかったら、今回の詩集の刊行はきっとなかったかとおもいます。(著者の許可を得て以下引用)


いわし焼く夕方
「焼き方が足りんぞ」
その一言に堰がきれ
とめどなく嗚咽もらす
涙の中にいわしが泳ぐ

( 二月十四日冒頭)

意表をつく書き出しだが、失恋というあまりにありきたりな、どうやっても着地点は同じ題材を、高踏的とならず、うまくコトバですくいあげている。金子彰子はその後「鳩よ!」などに作品をよせているみたい。いまどうしているだろう。

岡崎武志さんは「二月十四日」を井坂洋子さんの著書『言葉はホウキ星』(ちくま文庫)から目に留められ、3月に詩人のpippoさんとのトークショーで朗読されたのでした。そのトークショーの日、私はとんかつ屋でこの文章に出会ったのでした。
この時のお礼を、当時エルマガジンに「天声善語」を連載しておられた山本善行さんにお伝えしたことがきっかけで、ブックマーク名古屋でお二人に「書かないなんてもったいない」と声をかけていただき、このWeb上での詩作を開始しました。龜鳴屋さんには昨年の善行堂(山本善行氏の古書店)開店の際に声をかけていただき、このたびの刊行となりました。
39篇を揃えましたが、そのうち、初期の作は数篇、あとは全て9ヶ月のうちのものを改題、改稿して収めてあります。井坂洋子さんに言葉を寄せていただき、装丁は金田理恵さんにしていただきました。

価格.1985円、その他についての詳細は、まだ未定ですので、詳しくは20日以降にお知らせします。もし、予約のご希望がありましたら、龜鳴屋(カメナクヤ)さんまで、メールでお願いします。

龜鳴屋 kamenaku@spacelan.ne.jp

ご注文の際には、書籍名、お名前、ご住所、電話番号を御明記下さい。