2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

終劇 道は どこにでもあったろう 枯れたものをかきあつめ 華やかに 焔をたてようとも 濁世に浸かり 人より強かろうと 歳月は来たのだ 地に陽を当てねば 根は一面 絶えるだろう 苦が怖くとも これからの距離は それより先はのびない 文字盤のない時計は 死は…

植生 出穂に目を凝らし 増やさぬように こころがけよ、と つまらないことを 固く心に決めて それだけならばよかった つゆを振り落とし 伸びてきた しなやかな蔓を あなたは 落とした 何に執を持って 穏やかな西日に 背を向けたのか しかし 刹那な希望は それ…

朝に人は 石の塔を建てている 自分の泥に条をひいて 後生大事にはみださない とは それが何を生む 悔悟 の歯触りを確かめながら 掴まえられる眺めもあり 離れてから生まれ消え失せた鳴き声 いつまでも 口を養ってもらいたがる 羽の退化したものもいる 頭にあ…

釘はうたなくていい

その日は 電話ボックスに やたら人が並び、何番目か に 人のかたちに息のこも った中 コードをひっぱり ながら残した伝言カッパドキアが載っていて 知らない街の 青さについて語る不毛に水をやる愚かさも必 要だろうかどうぞもう醒めるようにこの生が思った…

走れ!走れ!感傷旅行のその先に

詩集『二月十四日』に、昨年6月7日に、この場所で書いた「8月」という詩を載せた。 詩の元になったのは、酒田への旅。台湾の自転車旅行の後、まだカステラのように日焼けした腕でハンドルを握って旅立った。 8月 頬張ったなりの ひときれの記憶 宮城から山形…

4つと71歳

多くのことではないのだろう わたしたちが 思わなければいけないことは 知るべきことは まだ 探さねばならないが 倉庫にしまわれた フィルムには ぎこちない目つきが 留めてあるが そのこどもは 親を知らず 川を駈けて いきものを探し 空腹を満たした 生まれ…

パワースポット 持たないことを理由に 小さな墓を掘っては 月の満ち欠けを見送って きたのだろうが 機が熟すことを なぜそんなに恐れるのだ どぼんと 淵に浸かって すてきなものなどないことを、くまなく知るのもいいだろう そこには 山椒魚しかいない ヒト…