釘はうたなくていい



その日は 電話ボックスに
やたら人が並び、何番目か
に 人のかたちに息のこも
った中 コードをひっぱり
ながら残した伝言

カッパドキアが載っていて
知らない街の
青さについて語る

不毛に水をやる愚かさも必
要だろうか

どうぞもう醒めるように

この生が思ったより、

思ったより、思ったより思
ったりだ
回転不足に、

そこまで言わないと比べら
れない



もうそれでいい

無数に虫に囲まれて

また夜明けが来ることを信
じてはいるが、そんな待た
れた場所の
細部まで語れない
鉈で割った程度の
詳細さ
いたわりとともに残そう