2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

宝石

背中にめぐった日々は 机で山積みになり 平凡な色遣いに紛れて 気づかないものだから 次の日の新鮮に 追われて もう失った気持ちでいる 光のうつくしさを 吸い込んだ雲 雑な一瞥や 立ち漕ぎで 止まらない迂闊を いつか 悔やむことが あるといい、けれど 巡っ…

公園小景

団栗を拾う二人だった 二歳から育てれば 親と子にしか見えないが 異動が決まってすぐ 子はつまずいて 遠いところへ 行ったきりという そばにいられるという 時間は 陽のある中では永遠だが そのうち帽子は 取り上げられる 君の手の中に 実はひとつも なくな…

小石を抱え 魚影の合間を 落ちてきた しるべなき 道ばかりに行きあたり 砂礫となった 心を均し 仕事の合間に咀嚼し、 無心のうちに笑い、 枕を叩く その少し先の 象は心に無く 仄明るくとも そらごとの命と 群れのなかで尾をそよがせ ようよう生き得たことは…

不惑

囁きなど押しのけられる 日日にありて 縺れながらも 人の死をもまたぎこし 指も髪もすべて乾いてしまった たなびく烟の中で 裡の音を聞きながら 涯を知る日が来る 君が心に留めた 雲のかおり 花芽をつけた 彼の地の話にも 名残惜しく耳をすます せめて 夜の…

タイトル

ブログに収めた詩から、まずは、詩をを選り出し、以下の60篇をまずは読み直して改稿をしている。表題もこれから変えるのも出てくるだろう。最終的にどんな形にするかは、まだ未定だけれども、つくる冊子は、ここから20篇ほどまた絞らなくてはならけないだろ…

『昔日の客』への旅

このたび夏葉社さんから復刊の、関口良雄・著『昔日の客』が届いた。まず目についた「コロ柿五貫目」そして「父の思い出」の章を読んだ後、二回通読したところで、どうしても関口氏の故郷を見なくてはという気持ちになる。幸い飯田は、岐阜から近いので、弾…

みしょう

手渡された、広告の包み ころがった 五つの芽を 爼に胡瓜と並べ 黄色い灯りを点ける 野菜のような バスの中の人々を眺めて 雨粒のような 無心さを取り戻してきた 喜びも怒りも寄り添って こない 人に閉ざされた往く道 けれど かなしい言葉を ことさら信心し…