2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

今日の孤島

こんなことを おまえのそぼに おまえのいもうとに おまえのははに おまえのむすめに たのめるのか ながたらしい くえきのときに なんべんもあたまに めぐったかんがえ いまは しかし そふにいいはれるのか ちちにつげられるのか むすこのあたまのうえに なに…

痕跡の花 ねことまつわりながら暮らした その軒にはばらがさいた 丈ばかり高かったことは 覚えてはいるが 心を寄せたおぼえがない 丈夫そのものの 肉厚な笑顔の下 棘はならんで 自転車をしまう背を刺した 四つ角のポスターは剥がれ長雨に打たれた初夏も 褪せ…

撃たれて死ぬ運命を

遠山は手を結び 世界を閉ざしていたはずだが 引き留める木々もなく 逼迫すれば 祖先の頃より 出て行かなくてはならない コーヒーに 気をとられて 何万ものページは閉じられた 撃たれて死ぬ運命を つくりだしたのは自らだろうか 幼き日が その人にもあり 射抜…

夏葉社さんと『レンブラントの帽子』

大学時代、ロダンのモデルになった花子の孫にあたる沢田助太郎教授に教養部で英語を習った。そこで、マラマッドについての講義もあったのだろう。読んだ記憶はそこから来ているような気がするが、かなり、おぼろげだ。 詩人のカニエ・ナハさんが「レンブラン…

ばら

郡上の家には、白いばらとピンク色のばらがあった。剪定もしないから、伸び放題のはずが、気候のせいか地味のせいか、どことなく縮こまった印象のばらだった。 岐阜市から郡上市に転校した小学生の頃、様々な雑誌にポプリの記事がやたらと載ったことがある。…

ジュゲム

こうして 折り重ね折り重ね苦心な 日夜がめぐらうとは まさかを 一枚ずつ かみしめ リットル単位の渇きもおぼえる 泣いてみるのも カラダにいいからとて いまや 拍子も 呼吸もむつかしいことだ 離れては うりの花の糸 いもに伸びた蔓 足にまつわらせて 首筋…

畦に立つ

遠く近くかさなって 月も星も 雲の奥で待っていた この次 かなたにしまった ひとひの出会いを 油を差しながら 考えるのだろうか 何事もなく 四散していくことは 鉛筆を舐めた あの日にすまないからだ ケリの羽ばたきが止めば 凹凸の方言が またたきのように …

記憶の方法

りんどうが地面から花びらをのばし 山を上った時も その先を辿るのを あきらめたあの時も 見送って 伝統に 生きているわけでもない 乾く唇 肩はうっすらと重い つながっていてもなお 腕をかきいだき 小舟の纜を ひきもどす 景色 瞼を少しあけて 熱っぽい譫言…

ねがい 花に水をやりつづけられないのなら その人を 選ばずともよかった 間違えたら 生涯 いらいらと通信装置を 修理せずとも と 無難な訂正ばかりして と 口ごもる強い気持ちがある子どもに負わせずともよいではないか ささくれた岩の根 一面の強い蔦 卑下…

佐藤泰志 誰が悲しいだなんていった 誰が悲しいだなんていった馬券を散らす男たちを眺めながら 清潔な店で古い女友達と新しい女友達と 映画をみたあとでちょっとビールを飲んだ それから街路樹の陰に生えていたビワの木から 三個の実を盗んで歩きながらむし…

朴の花の下

谷の底の 鏡面に 祖父と残されている 畦をぬり 草徐けをひろげ 古い体操服で 重い昼を跨いでいく ふと フランシーヌの場合が かかったりすると 拍手ばかり粒だって近い いのちとはやっかいなものだ 泥は発酵しながら澄み むだにうつくしい 輝きを宿している …

スーパーワイルドホットケーキ 学校だって休む権利があっていいのさ 卵だって割るために 生むのさつまんないなこんな日に なんで やいのやいの言うのだ もう 成人を越えているんだよ つじつまあわせにも ならない 無駄にあかるい空 業者は来ない こんな機械…