畦に立つ
遠く近くかさなって
月も星も
雲の奥で待っていた
この次
かなたにしまった
ひとひの出会いを
油を差しながら
考えるのだろうか
何事もなく
四散していくことは
鉛筆を舐めた
あの日にすまないからだ
ケリの羽ばたきが止めば
凹凸の方言が
またたきのように
耳に寄せる
またどうやって
年をとればいいのだろう
そのうち
風がまとわりつき
握りこぶしで立ちすくむ
中年の天空
金子彰子(かねこしょうこ)詩集『二月十四日』龜鳴屋(かめなくや)刊 白水社さんの 『出版ダイジェスト』5月11号のコラムにご紹介いただきました。書影はこちらから
http://spacelan.ne.jp/~kamenaku/