2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

幼魚のような時を経て 手足がやっと 邪魔にならなくなった もう 重い頭を それほど頼みに しなくとも いいのに 怒声や いちめんの涙を 細かい疑問で 包まずに 軒下でやり過ごす すべはないのだろうか 花が朽ちても いつまでも なぜという人はいない 起きた犬…

佐藤泰志、復活

1949年4月26日。存命であったら62歳。佐藤泰志が自ら生涯を終わらせたのは41歳の10月。未完だった『海炭市叙景』は死の翌年に刊行され、ながらく絶版になっていた。 20年経ち、命日近くに文庫が復刊したのは、驚くべきことだったが、きっかけは昨年3月に遡る…

海辺を歩いて

長い時を経ても心に残る文章がある。子どもの頃、古い『暮らしの手帖』が家にあり、読みやすかったからか「すばらしき日曜日」という一般向けの投稿欄を拾って読んだものだった。様々な人の休日の力の抜けた生活ぶりが、何ともほっとさせる内容だったと思う…

朝の詩

為政者を海に見送り その国の広場では 紙屑が拾われている という 客を迎えられると 青空もひろげられる 別の国では 民衆は警察に囲まれ また次の国で 学生が声をあげたという カーラジオより 解説の声はこぞって その将来を案じるが 老いた国で、くりごとを…