2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

悲鳴 背中に 本を敷いて寝て うっかりと過ごし 知ることは 日々のわざという 便利なものがあれば 人は ものを思わずにいられる それは 薬のようなものだ 関心が 失せ果てていても 誰も気づきはしない 傍らを過ぎゆく人は 精霊のごとく 夏の朝は知らず 虫の音…

金子は見た!『古本のことしか頭になかった』

今は休刊になっているエルマガジンの「天声善語」の読者であった私は、この連載が書籍にもならず、また再開もされないことをずっと不思議に思っていた。 昨年の12月、自分の詩集を入稿したばかりの頃、手書きの原稿を持ち歩いて、出会う人、出会う人に無理矢…

Kanecoの詩集(仮題)

このWebから詩を取り出すために、去年の日記を久しぶりに読んだ。 昨年の秋から冬の記憶というと、手製の詩集と、龜鳴屋さんから出す詩集のために、ずっと原稿を整理しており、そして本業のほうでは、17年の支援の経験を根本から考え直さなくてはならないと…

秋冷

24時間レストランの 明るさから解放されても 時間の糸口は どこにあるか 分からずじまいで 一応の帰り道 猫達は ゆるんだ季節に 笙のような声を 響かせていた さかむけが増えて 引っかかり、引っかかり 月は昇ってくる 弱い風が するすると全てを外して 肩に…

またつくる

子どもの頃から、シンプルシック、清貧の思想、少欲知足とか、持たないことを奨励するスローガンを聞いて育ってきたわりには、その世界を芯からは肯定する気になれないのはなぜだろう。 「削ぎ落とす」という前にはやはり、豊饒な時を知る期間はいるのに、も…

雑念

虹彩ひそむ 潮の変わり目 祖父が生き永らえて 父に渡したものらしいが 警備員の 芯の苛立ちを 水と共に 味わってしまう 古い友だちの 暢気がよりどころなのに 窓は幾重にも 蜘蛛の糸につつまれて 外は 天が割れたような騒ぎだ 何を杖にして 渡って行こうか …