雑念



虹彩ひそむ
潮の変わり目
祖父が生き永らえて
父に渡したものらしいが



警備員の
芯の苛立ちを
水と共に
味わってしまう
古い友だちの
暢気がよりどころなのに



窓は幾重にも
蜘蛛の糸につつまれて
外は
天が割れたような騒ぎだ



何を杖にして
渡って行こうか
膨れた鞄を
むだにかき回す



目には
人の顔しか
映らないようだ
今はいったい
何時なのだろうか