2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

手製版『二月十四日』 誕生日に発行した手製版の『二月十四日』だが、手元に残っているのは、試作品の一冊のみ。表紙には白いコピー用紙でマゼンタで書名が書いてあり、裏表紙はピンクの和紙や少し厚目の紙を使い、ステープラーで止めてチョコレート色の製本…

きのこがたり 雷がいいと聞いたおのこは何万本何千本の原木を一本一本叩いて歩いたという 山のともだちは伝説が書いてあるのりしろではなく日々をかたり一本一本コードを届けてくれる さきの祖が育てたナラのほだ木はひをあびて木のにくしつに今年への語らい…

一昨晩は「外事警察」(NHK)の再放送がやっていたらしい。初校に訪れた金沢、龜鳴屋・勝井氏のお宅のリビングルームで、この番組の最終回を観た。勝井氏と奥様の解説を聞きながら眺めた、渡部篤郎の不敵な表情が、暗い画面と共に忘れられない。 4月に詩を…

去年の3月23日、私は近くの本屋で購入した『女子の古本屋』(筑摩書房)を読んでいた。この岡崎武志さんの著書を購入したのは、愛読していたエルマガジンの連載「天声善語」の山本善行さんの話にその頃何度も書名が出ていたこと、そして、行ったことのある書…

2004.3.19 君の父は 家族のために生きた 君は人のために生きている 行き違いに追われる夜もあるが あの 静かな背中を君も持つ 夜の東名を飛ばし 枕頭についた日を覚えている 最後の顔には 笑みがあり 低い語らいを 安らぎに導いていた そして この七年の日々…

Twitter「ハクモクレン」000214 岐阜市則武西の緑地にあるハクモクレンが満開間近。去年、配達で通りかかったが、殺風景な荒れ地が、一本の木のおかげで、そこだけあかるんでいるかのような印象を受けた。 for east 先日どこかで花を見かけてハクモクレンと…

born free木立の向こうで渦巻く音がする 立ち竦んで 飛び越えない 名札をつけたカーディガンくろぐろといく流れ 落花の下で 田螺は細かい泥の中で 泡をつぶやく 小さな窓にその場所を 表示してみる まどろんでいた時から 何が世界をひらくのかと 気づいてい…

種 気づいたのなら 埋めてしまおうか 嘴は烏になり 後ろ足は猫になり この手は栗鼠に変えよう 蚯蚓のように こころゆくまで 地面の味をしがみながら ウォーリードールも 焼き損じのナンも 胸を包んだ掌も 満ちた灰皿を片づけるように からりと 翻って、 老い…

青春 待っている間に 髪は伸びて 切れば冬の香りがした あの 国道沿い 埃にまみれた ブレザーの線を 即座にえがく ロウバイが皺をのばして 天を指さすのを見て そこに出ていきたかったのか 庇の奥で 誰もいない将来のことを 考えるのは たやすくない 上京も…

悪態 この 背中を見ながら 死を 考えている人もいる たとえば おいつめる何かがあって 煩悩の頸を 絞めたくなったとしても あんたが いなくなったって きりがないのだ 執着を手放すために この世から消えても ささやかな形見ごと かたづけられてしまう ああ …

群鳥

群鳥 並べた窓に 頭ばかり映っている 床に伏せたいろのない手に気づき 合わせて組めば脂肪が黄色く あとから塗った 唇だけかたちがある 畳を清めたその場所で 何年もかけて 荷がつくられる 気づきもなく 目もなくなり 長男は山狩りに行き 子の声もしない あ…

マルク あの時に 涙は涸れたらしい 古本有時文庫の裏は もう駐車場だ おまえがおりられなくなった柿の木は残ってるけど スポイトでミルクを与えた日々 お前はメロンが好きだったっけ 牛のような模様だったが 瓦にねころべば しなやかで いいおんなだったよ …