2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

樹の花

息をようやく吐き 水を飲むどちらに 光はあるのだろうか めぐった血の あたたかさに導かれ おぼろげな 道をたどる 地図を読む 細かに降る 目蓋を模した花 いつかの朝も この路に 立っていた

beans

ちいさな布巾で 磨きあげてきた ものに 惜別はあるだろう しかし 元の生活というのは 雨ざらしのベンチのように 端から朽ちかかっている 穏やかではないことに も目を向けて 飲み込まれないために 噛みしめて 坂を辿るには 蔓のように絡まりあう くらしと あ…

友人の前に おひつが置かれたので 話をつづけながら ご飯を よそってもらう ありがとう と言って その言葉つきよりも 嬉しい気持ち これは何だろう 私たちは 烏の北斗七星の 向こうへ 教科書を投げ たがいに 二十年、出会う子どもの 世話をして なりゆきでこ…

常夜灯

今日も 陽は沈んで 何も見えなくなる 身の丈という 規矩の外へは手を伸ば さない そんなのしか 見たことがなかったが あの木曜日から 人は距離を 言い訳にしなくなった 声は人のために響き 耳はそよいで風を起こし 木の実のような真実は 丹念に集められ 地表…