2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『すごい本屋』に始まって

去年の年末、『すごい本屋』(井原万見子 朝日新聞出版)を読んで、感銘を受けたことを覚えている。井原さんの営むイハラハートショップは和歌山の、日高郡日高川町という山あいにある本屋さんだという。 都会から遠い地ながら、福音館のエスキース展、今話題…

街の草さん

ふらりと寄って、普通これだけ揃うだろうか。驚いた。おまけに、道を聞いて伺ったとはいえ、飛び込みの面識もない客なのに、あんまりないという貴重な雑誌を申し訳ないほどの価格で分けていただいた。武庫川には初めて出掛けたけれど、駅から坂に沿って、心…

同姓同名

過日、龜鳴屋さんと話をしていたら、自分の口から「榊原淳子」という名前が出てきてその久しぶりな響きに驚いた。現在、同姓同名のお天気キャスターがいるみたいだが、当たり前だがその人ではなく、80年代に活躍した谷山浩子にそっくりと評判だった詩人のこ…

吹雪

四方から 海からの溜息に包まれ 湯の中から見詰めていた 絶えず呼吸する こころなしか朱が混じる 港の灯 女は 薄い肩だったろう 男は何を 着せかけてやったか 前髪が絡みあって 二人の前を 昏くした 降り積もる苦いひとひら 胸の扉は潰された そのかみの情熱…

食パンは修行の味がする サンドイッチみたいなお前に俺の心が解るかと 心外なものが 空き瓶から出てきた横に浮かぶ雪を見ていると靴下を持って タオルを首に載せて 螺旋の向こうに 歯ブラシのおんなが映るその目は 円い魚のようで 愁いがあるのか むしろ嬉し…

それは幻ではなく

『ボン書店の幻』(内堀弘 ちくま 文庫)をたびたび書店で手にとった記憶はあった。 しかし、鳥羽茂という出版人に関する、この新鮮な傷跡のような生涯をたどる労作を、なぜ読み通せずにいたのか。読了後、興奮醒めやらず人に電話したところ、手に取るどころ…

六道談義

豚足が 噛みきれなくて 返事をしないでいると かっぽうぎの主は おでんの玉子を 盛大に剥いた テレビは毎晩点いていて このうちは川中美幸ばかりかかると タクシーのおじさんが だいたい そう言う 地獄はあるんじゃなくて 湧いてくるよ 人の数だけ いいもわ…

同級生が!

週末、金沢に行くので、そういえば金沢の大学に行った同級生がいたなぁと、何の気なしに検索をかけて大驚愕。彼女は、工業デザイナーになったとは聞いていたが、その後、2001年頃に大阪でシナリオを学び、今や『オルトロスの犬』の脚本を書いている大活躍の…

彩雲

長閑な午を過ぎて 家路への眠りにつくはずの老いた目を 西の空が誘いこむまた生き永らへて 流れを越え 濃州に身を委ねる 山で身を灼かれる日も この橋の頂きで 見下ろすのだろうか 光をもとめ 身をよじらせていたら いつしか蝙蝠となった 迷うために 翼を差…

京都へ

わー9時発の予定が、こんな時間に。瀕死のマーチを置いて借りたのは、あれ!おかしい。この私の手に負えなそうな車で京都へ行けって?しかし繁忙期、車は出払っており、換えられず。それでは今から出発します。調節が分からず、大音響で「ももいろのハム食…

善行堂から恵文社一乗寺店へ

今日は京都東で降りて、疎水からずっと北にあがったら銀閣寺口で、あやうく交差点を通り抜けるところだった。前回、知恩寺の古本まつりの時は、京都南から降りて、町を延々回ってたから友人をさぞ不安に陥れたことだろう。今頃すまなく思う。前回と同じく、…

復航

しるしはなかったが 寝顔の真下の 太陽のあたる陸地と 黒い海を眺めていた ひとりの 背中をおもう 諭されても 足が向かない家路 いきつもどりつ 知らない酒も飲めないから遠く遠く 重なったかげを見ながら 文庫を一冊 置き忘れたことに気を取られて 白い陸地…

冬至

きまりごとのみ 後生大事と 抱えていたければ ずっと一人で 生きていけばよいてのひらには様々の温度があり 重ねるたびに 虹彩を じっと眺める そのあたたかさ その不思議に たまに気づいては あゆみを止める行く手を教えていてくれた凍てついた木立も 太陽…

lesson

なかなかあがらなかった バイエルの表紙 手提げを捨てた 記憶もないが 弱毒性が繰り返されると来し方行く末の 別種かと目を凝らす 絶命にも至るような 起源を持ちながら まどろむかのような蔓延は根の無い未来を暗示する 二階カラ曲ガラヌ足底ヲノロノロ運ビ…

菜園と『ひなた弁当』

ブログは、はてなが初めてだと思っていたが、続かなかっただけで、三年前、一年だけグリーで日記を書いていた。不調の携帯をあれこれいじっていたら、塩漬けになったブックマークが残っていて、久しぶりにアクセスした。日記が書かれた頃は七年働いた小規模…