2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

葉桜

薄墨桜の葉桜です。四月上旬が見頃だったんですね。しかし、誰一人いないところで、この風雪にむすぼれた樹の前に佇むのは格別でした 。(→負け惜しみ)薄墨桜はかつて真夜中に訪れたら、ライトアップがなくて心眼で観るしかなかったり、盛りを観たことがあ…

青嵐

蒸発してしまった気力が 前髪を濡らしているようすだ きいろい週末が眠たげに 息を吐くnowo聞きながら 縮こまった夢をたどるその人でないということで 憎まれてもみるが もうすぐ40だから 昔より げんきだし 私は私 まだまだ 鏡台をかついで 階段を昇ってい…

扉を 押し入って みると 雨天の中に一瞬の平安だ 隅に座って コーヒーを頼もうにも 気配といったら ゴムの木とアロエ よりそえば 憎まずには いられない修羅の身の上 携帯をプツンと押せば たまに雪国がうつる 埃をかぶったこけし いつからここに 置いてある…

またひとつ、朝が 君のいる場所を照らす昨日は熊本城から写メが来て 味噌天神の マンガ喫茶に三泊 そして人吉 わたしは祖母をなくし オムツの心配がなくなった父母に 内蔵が消えたかのように安堵している 桜島 渡って昼寝して それだけ? それだけだよ 私達 …

『鳩よ!』36号 昭和61年11月号より

『接触』 接触欲ですよ レンアイとはちがうのです もっともらしいね どうしようもないね 男を前にして赤くなるのもうんぬん みすかされてる イヤだね一般論 否定をうなずきにかえて うなずきから方向をかえて ひとりしゃべりが続くのです 「ワタシだけにヤサ…

日常の果てに

高校の友人に思いがけず、「鳩よ!」のバックナンバーをもらい受けました。その、『接触』という詩をアップしかけたところ、弟から、病床にある祖母の危篤の知らせがありました。国道156号は桜が慌ただしく散り、病院にたどりつくと祖母は午後3時に息をひき…

ガールズ

ああ タイムイズマネー ずうっと上を向くか下を向くかで疲れたよ そうして前住んでた部屋は広いのに湯船は小さく深く昔のまんまだからて 手はのばせるけど だからだから 貸し家の風呂は寒いから 延々と おまえさん達の口は動きつづけている 夜から持ってきた…

レシピとは人生の記録

ちょっと前の『あまから手帖』を立ち読みしていたところ、料理人の蔵書拝見という頁があって、和食のお店の方が、城戸崎愛さんの洋食の本を「子どもの頃から大切にしている」と紹介されていました。私もその本を古本屋で求めて持っていたことがあるので、感…

Night menu  

極小画面のバッターよ 今晩は 青く透き通った画面に 深海魚のような観客が波立つ 10分でラーメンを啜って 稲荷をつまんだお隣よ さようなら 深夜1時 固めの卵がゆであがり つけっぱなしのライトの向こうで 検問が始まる 齧ったあとが茶色いな 綿飴のような本…

春宵

懐かしがることは何もない 捨て鉢なこどものように ただ 月の下の 呼吸するように灯るビルを 弧を描きながら眺めやる あ 草も木もない 暇があったら 洗濯乾燥執心しやあて かくして セルフうどんで蕗田さん(名札)に注文セリ セダンを停めたコンビ二でフキタ…

コンフィチュール

関心をつないでいくことをとかく忘れがち 渾身の力でねじっても頭蓋骨の蓋がはずれないから 手首を痛めてもうあきらめた郵便受けは黙っている 電話はつうじないしたまに見慣れた字の葉書が赤い刻印と共に帰ってきて一度もった権利は20年の間に消えたとアナウ…

うた

焦点の合わない憎しみは 突拍子もない危機の肩を 押して 上空を曇らせている 背を秒針で打たれながら 塵芥のような澱を吐くように叫べば 誰かへの支えが生まれないかと思う角のあるままの 苦味のある 粒粒をとりだして さかむけだらけの 皮袋で醸していると…

GW

生活を手放し 浮きよの面倒事を ほふり 眠ければ倒れ 己のつらもみないほどになり よって件のごとしになる筈が虫歯ジャングルより 伝令ありて 三トンの汗を抱え 戻りくれば悶絶 冷やして七転八倒 ロキソニンより素早いミュータントの仕業にわかに日毎のドラ…

Next

シニファン、シニフェ きいたばかりのおとをくちにのぼせ あぜみちからあぜみちへ じてんしゃをかる あぶらですべるまえかけ とりのなかをぶつりとぬいては いちにちのかてのために はかりのまえにたちつくす ほねをはずし チューリップをつくってたちりちり…

Xiao Louciou  小琉球

エンジンはわめき ブーゲンビリアの岸辺は遠い 輪行袋に靠れて 芙美子を取り出す 台風を追い風にして 越南の高原を思う 泡沫紅茶の氷が 全部溶けだした 14:30分発の便 女は小さく死んでいく 雨にいろどられ 男の狡猾を 無に帰するほど 皺深い人群れは …

まつり雑感

どこへ行くにも割と平服を通し、正月も神社より本屋に詣でる私は、昨今言われる「あがる」という感覚をできるだけ避けて生活しているような節がある。しかし、人生には矛盾がつきもので、就職してから三回職場が変わったが、どの職場にも半年がかりで準備す…