春宵

 懐かしがることは何もない
  捨て鉢なこどものように
ただ
 月の下の
呼吸するように灯るビルを
弧を描きながら眺めやる


あ 草も木もない


暇があったら
洗濯乾燥執心しやあて
かくして
セルフうどんで蕗田さん(名札)に注文セリ
セダンを停めたコンビ二でフキタさん(ネームプレート)にレジを打ってもらフ
町でくるくる働くあなたの
隈をみつけてはっとしたか


昔も今も何思ふことなく
壮大な退屈を生きている