2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

白い花

幼き日 梅は親しいものだった 用水をまたぎ 白い花を探しに行くと 庇の奥でくすぶる弟等も 途端にはしゃぎだすの だった 鳥は どこから春を 抱き取り 翼を替えるのか 裏山で一日中 境目を見つめた 幼い手で残した 淡紅色のカリン ミツマタの黄色 薄紫を見せ…

『国道沿いのファミレス』

畑野智美『国道沿いのファミレス』(集英社)を10日頃に読み終えた。深刻なものを背景に抱え、事件になりかねない人間関係の中で、薄く薄く生き延びていく主人公には妙なリアリティがあると思った。 この本の広告には、女性関係が元で郷里に戻った主人公とあ…

その先に

「逃げられるから別々で」 それきりの別れとなった 父には 息子の命が 大事だった 共に逃れた 母娘 最後に離れた手を思い 母の嘆きは深い 「逃げてくださいと」 危険を告げながら 役場の女性は 津波に流された 最後の声を聞いた母も 今、無事だろうか 東北地…

言葉を失っている

このような時は、先を示す必要な言葉と、要らざる慰めとの差異がはっきりするものだ。ツイートは、RT以外暫く控え、こちらに日々のことを挙げます。Believe http://www.youtube.com/watch?v=IAo9hSR_9v4&sns=em

朝よ

この夜の 一分一秒は長い 生涯初めて聞いた ラジオからの叫び その直後 集落へと 黒い波が押し寄せていた 命 、 命 、 命 、 命 、 命 、 命 … 夜通しの余震に 凍えたすべてを 再び 陽の光が 暖めて くれることを 勇気づける何かが 見つかることを 今 心より…

コーヒーテーブル

ガラス窓ばかり 目立つ席だ 夜更けは 銀髪の一人客が目立つ もう 充分だから レシートの中に 何かあるかと 探さなくったっていい 邪険にしようが 随いてくる 植木だの排ガスに紛れて 弱味というものは 睫毛が美しかろうが なめらかな唇を 開こううが ささい…

春だけど

23歳で当時でいう養護学校(今は特別支援学校)の講師に就職して以来、11年前に転職して以降も、年度末というのは、いつも心休まらない。特に東濃で長らく講師を続けた最後の年、単年度契約とはいえ、3月15日になってから「高校の統廃合があって国語の教員が流…