群鳥

群鳥


並べた窓に
頭ばかり映っている


床に伏せたいろのない手に気づき
合わせて組めば脂肪が黄色く
あとから塗った
唇だけかたちがある


畳を清めたその場所で
  何年もかけて
荷がつくられる
気づきもなく
目もなくなり


長男は山狩りに行き
子の声もしない


あといつとせも経てば
すべてはちりぢりになり
花粉に紛れては
夥しいケリに啄まれるだろう

ここに罪があるというのか

紗をかけたような
鳴き声につつまれ
気根まで生えた
この大儀さ
家鳴りの音も
長閑さをひそめた



※郷里の鍾乳洞の山に住む友人が、老人のお使いで、下界に馬券を買いにくる。先週会った時、帰りがけに夕方になると、山の頂きに鳥が集まるという話をしていた。町でも特定のプラタナスなどに雀がすずなりになるので、その程度のことかと了解していたが、先週の新聞を見たら驚愕。滝平二郎の民話のように、黒々とした梢の上のたそがれた空にうわーっと一面何かがぶちまけられている。なんだこの天変地異は!記事によると、ケリの渡りの季節にあたり、奥美濃では、場所によってこのような大騒ぎになるらしい。近くに住んでいたらたまらないだろうけれど、新聞で充分ぞっとした光景を、見てみたいものだなとどこかでわくわくしているのだった。