悲鳴



背中に
本を敷いて寝て
うっかりと過ごし
知ることは



日々のわざという
便利なものがあれば
人は
ものを思わずにいられる
それは
薬のようなものだ
関心が
失せ果てていても
誰も気づきはしない



傍らを過ぎゆく人は
精霊のごとく
夏の朝は知らず
虫の音も聞きとばし
雪の夜は毛布をかぶり
君の毬つきも見ず


励まされたとて
生きていくことは
尽きるまでの
徒競走ではなし



酸欠になって
やっと
気づいたのだ
自分も
人であることに