朴の花の下




谷の底の
鏡面に
祖父と残されている



畦をぬり
草徐けをひろげ
古い体操服で
重い昼を跨いでいく


ふと
フランシーヌの場合が
かかったりすると
拍手ばかり粒だって近い



いのちとはやっかいなものだ



泥は発酵しながら澄み
むだにうつくしい
輝きを宿している



何台も車は
通りすぎてゆくのだ
今日は休日だから


金子彰子(かねこしょうこ)詩集『二月十四日』龜鳴屋(かめなくや)刊はこちらから書影をご覧になれます。http://www.spacelan.ne.jp/~kamenaku/