不惑



囁きなど押しのけられる
日日にありて
縺れながらも
人の死をもまたぎこし
指も髪もすべて乾いてしまった



たなびく烟の中で
裡の音を聞きながら
涯を知る日が来る



君が心に留めた
雲のかおり
花芽をつけた
彼の地の話にも
名残惜しく耳をすます
せめて
夜の波がすこしずつ
この窪みにひかりを
溜めてくれたらいい



捨てられ、しまわれた
いちまい、は
どこにいったろうか
行き急いだことを
惜しむのなら
余日をかけて
探さねばなるまい