植生



出穂に目を凝らし
増やさぬように
こころがけよ、と
つまらないことを
固く心に決めて
それだけならばよかった



つゆを振り落とし
伸びてきた
しなやかな蔓を
あなたは
落とした
何に執を持って
穏やかな西日に
背を向けたのか


しかし
刹那な希望は
それは風化するのだった
携えた荷物は
もう
あなたを知らないようだ


その生を守るならば
はじめから賽など
用意しなければいい



また
時は変わってしまった
ゆだねられはしないが
人を求めて
ここにいる
それだけは誰にも
止められはしなかった