4つと71歳



多くのことではないのだろう
わたしたちが
思わなければいけないことは



知るべきことは
まだ
探さねばならないが


倉庫にしまわれた
フィルムには
ぎこちない目つきが
留めてあるが
そのこどもは
親を知らず
川を駈けて
いきものを探し
空腹を満たした



生まれた場所から
船に運ばれ
山奥の田の中で
たった一人
その日を迎えたという
戦いに気をとられ
常に
うわの空だった
その家は
人を裁く習い性を
いつしか
あなたに与えて
さまざまな傷の
種となった



(目にうつるものを
まずは
忘れるのが
処世)



なれど
おじいちゃん、ボールやよ
おじいちゃん、おふろ
おじいちゃんとここで
頓着ない声が
この靄をはらしてくれたの
だった
もう
絵空事のために
生きなくたっていい


そして
大事な気持ちは
しまわれていた
手巾のように
ちいさな
汗ばんだからだの
きみのなかに