パワースポット



持たないことを理由に
小さな墓を掘っては
月の満ち欠けを見送って
きたのだろうが
機が熟すことを
なぜそんなに恐れるのだ



どぼんと
淵に浸かって
すてきなものなどないことを、くまなく知るのもいいだろう
そこには
山椒魚しかいない



ヒトの言葉の大抵が
針を含んでいるのは
だいたいの住処が
地獄に近いから仕方がない
愛してなくても
人は世話をされたがる
たいして感謝もせず
大きくなったり
死んでいったり
毒を吐いたりする

そういう傾向

密林で準備体操が
役にたったとは聞かない
よその国の人の方角は
その人のものだし

おばあちゃんの
飲んでいたスピルリナ
スピリチュアルも一緒だったろう
セドナとは
どこぞな



知るということは
やっかいなれど
頭で作ったうそを
いつまでも信じていたら
2010年賞味期限も切れる



失うことが多く
損な気持ちにふくれても
いつまでもそのままでは
いられない筈だ
まぎらわすことに
気をとられなければ
聖地など巡礼しなくとも
私たちは掴める



とどのつまり
そのまま死ぬより
家を出ろ



山家


黄色い瓜を割り
実りを残らず抱えて
ちらり
老夫婦の居を眺め
はなれ猿は
蝉しぐれを走る



畝に座す
ちょこなんとした渋面
野にあれば
その長い
長いからだは自在だ
茄子をかじりかじり
もはや
爆音にも驚かず



極楽をみつけたと
お前は
日夜、告げに来るような
無邪気な略奪は
実るその日に確実に来る


煩雑なわりには
まじない程度の罠しかなく安眠は遠くなり
ヒトの優位など
どこにあるというのか
途方にくれ
途方にくれ
粒から考えてみたい今宵