夜の友

人の果実を欲しがらなくとも
隠れて本は読めばいいの

心に刃を沿わせて
ここにない金のために
なぜ幸いじゃないと
思わなくてはいけないの

力のない囁きは
窓に斜めに流れる
あなたはだれなのか
だれのわたしを


月と雨の156号線にて
決別の方法をさがしだせてはいない
明日からも
生きるという
この雑用に励む


ワイパーは切ったまま
暗い廊下を歩いた
記憶に従っている
固い眉間のような
いつかの輪郭が透けるまで凝っと待っていたほうがいい
あれは朧だが
待っていた形のようだ