裸足

勤め人のために
靴下は朝にぶらさがっている


コーヒーに身を屈めると
ミラーの裡で
隣の車のも隣の車も
せわしい身支度

裸足では出ていかれない
ささやかな苦しさ
押しとどめられる
掌も見えないのだけれど
この時刻の空の低さ


櫛をしまって
順番に出て行く時間
携帯を切って
わたしの店を
開けなくてはいけない