2011-04-23 甘露 今日の月 梅酒の瓶から つまみあげた拍子に しずくが 落ちてくるような ストーブの灯油が ゆっくり巡る音を 幾夜も聞き 綴じ紐をひっぱり 年少いゆえに 尽きてしまう言葉に 焦れていた 爪の 飢餓線がなくなり 不似合いな 年輪を巻きつけ 古い葉を繁らせ やわらかなくたびれに 蝕まれても どこまでいっても中心は 青白い道管の 束のまま もとよりの地面から 逃れられず 楽園にいても 気づかずにいた 半生を注ぎ 喉を鳴らして 月を啜る