2010-06-12 道行 不安を楽器 に鳴らし終え たまたま 聞きいるひとを得たと 月琴を胸に ねむるのも忘れるあのものを 呼びとめたりしないこと なさけあるのなら たとえ 肩は痛み 足は曲がらず 横画面の夕景に 座らざるを得なくとも 紙のように散らされた 古びたイコンは 首から取り そのまま生きていくのだ 水を飲み 飯に卵をかけて 音をかき消すほど 言葉をつくしても 出会ってしまう 七夕のひそみ わからないのは この世のならい 潮の満ち引きに われらの意思はない なるようになれと 眺めているのみ