街道筋

その土地は
嫁入りには小銭を撒くと聞いた
青白い
学校の友だちが生まれた
空の狭い町


本陣があった
ところに
小学校がある
雪の校庭には
犬の足跡ばかり


ここは
もののはためく音が
いつまでも、いつまでも
聞こえている


あるものより
ないものの多さを
なぜ
数えてしまうのだろう
一軒きりの店には
電池がなかった
代わりに傘を買い
立札を拾い読む


人が行き交った
痕を探して
吹雪の中で
スケッチを
始めた人たち
「思うようには描けないのよ、いつもいつも」


山からの雪雲につつまれ
普段を取り落としたら
石畳しか
見えなくなった