飛来
ついに車の窓を
手で擦って
目を凝らす
突然の雪に
塞がれた夜道
弟が
娘が生まれた
と知らせてきた
父に
そっくりな声で
11時11分に生まれたのだと
四十を迎えても
昨日の夜道を
まだ歩いていると
信じ
いつまでも育ちきらないで
平気でいたけれど
抱き上げた
頭のまるみ
ちいさなお尻から腕に
伝わるおもみ
だいじだいじだいじ
と胸が唱えた
私たちの父がそうであったように
私たちの母がそうであったように
こうして
やっと歳をとる
誕生、おめでとう