ひめくり

すべて外して
今が終わることを念じ
踵をひきずった
家路

糸も梯子も
空から降りてこない

無口になって
薄いノートを
埋めた
遠い春


もうじき誰も
いなくなる
もらった
孔だらけの柑橘を
剥いて皿に並べたら
水気のない中身を
だだ二人だけ
立ったまま
慈しむように口にした