遊覧船  

陸に抱き取られ
いずこにも
往かれぬ古代湖
かつては、四方に溢れたというが
その跡は砂に覆われた


三人・・二人・・七人・・
五人・・・四人

見習いの札をつけ
青年は家族写真を商売にしているといい
無愛想に
空を指す


誰かが
葦のかなたに
見た柱を


小船の娘に
鳶が教えた彩雲を


家から追い立てられた
ふたりが眺め

所在無い
こちらはケータイをかざし
霰をしおに
甲板を降りる