露命

昭和43年にひらかれた
ばら園の話を聞いた


福島第一原発の事故後
主を失った花は
草の中に埋もれた


貧しさが染み渡って
行き場のない時代があり
人は
せめて胸に宿るものが
どこかの山奥に
花を咲かせると
信じたものだが


その花をも
自分たちの手で
毟ってしまう
日がこようとは


花鳥風月をうたい
愛でながら
そこに命を
見ていたのかどうか


緩慢な
殺戮を許すため
共に
調べを
外してきたのだろうか