サイレン

彼の日、空に掲げた
サイダーの泡をくぐって
四十路という
炎天の下



沈まない
尻を逆立てては
草で拭いた
ゴーグルで見た
水底の石

それは
流れの中でこそ
美しい



空き缶の中の
黒い雨蛙
子どもの頃に
見たきりだが

非常時のように
胸が鳴る
まさか今まで
淵に沈めてあったとは