白昼



合歓の木のはな
いっぽんいっぽん
揺らいで指し示す
日盛りに告げた行方



空が前方にあった頃は
みな見渡していたが
幾重にも声を張る
鳥の声に包まれ
滝をくぐり、くぐりして
いつか
板塀の町で
後ろの影ごと
見失う



何の意味もないと
ほうりだされた姿の
有料道路脇の海
それでも



あの傷はやっと
砂のようなものになった



人だから、こそ
思わずにはいられない