『海炭市叙景』の文庫化 さらにTwitterで起きた事(3)


このツイートから全てが始まったことを、私はここに記しておこう。2010年3月21日12時18分10秒


@hommam:@000214
クレインさんが編んでくださった『佐藤泰志作品集』には収録されているのですが、彼の作品は芥川賞候補5作(うち三島由紀夫賞候補一作)ともに絶版文庫化もされてません。◯◯社さんの編集者者ツイッターにいませんかね?新潮社さん、河出書房新社さんにもご検討いただけたら…


 hommamこと本間恵さんは「映画・海炭市叙景」の実行委員で札幌に住む一般の方である。 一読者の情熱が長らく絶版となっていた作品を文庫化に招いたことを皆さんはもうご存じだろうか。

私がツイッターで「海炭市叙景」に注目したのは、前年から見るようになった岡崎武志さんのブログに佐藤泰志の名前が、ある時に集中して載っていたからだ。
函館に生まれ、1990年10月10日に41歳で自死した作家が生誕60年を迎える年に映画が決まった。
 ちょうどクランクインの頃に自分の詩集の刊行が決まったこともあり、できる範囲で応援を始めたところ、書評家の東川端三丁目さんに声をかけると、ツイートを4本して下さった。http://kaitanshi.dreamlog.jp/の方が、急にページビューが増えた!と驚いておられた。
 私は携帯でツイートしていてリンクを自在に貼れないで、たまに記事が妙なことになり、hommamさんが代わりに記事にリンクを貼ってくれたことがあった。それから詩集を求めていただいたり、互いの土地の話をするようになったのだが、24日前の前出のツイートを見た私は次のように返事をした。

@000214
このツイートを皆様に見て貰いたい!私のアカウントをつけずに書いてくれますか?携帯でRTすると間違えますので…あと本の雑誌などに寄稿のhigashikawabataさんがクランクイン時に大量につぶやき、ブログへの注目が増したことがありましたよ。

 そしてhommamさんはつぶやき、書評家の豊崎由美さんが注目してRTし、この情報のパスが小学舘の編集者村井康司さん(@cosey)の目にとまることになる。 そうともしらず、


@000214
hommamさんの佐藤泰志復刊プロジェクト、hommamさんの佐藤泰志愛と知識を惜しみなく出しきって頂きぼちぼちと息長く続けたらいいですね。


と暢気に返事し、調子悪い携帯に、電池切らしっぱなしの日々だったが…


hommam
佐藤泰志海炭市叙景』小学舘から文庫化決定しました!四月の嘘ではありません(@000214)さんが背中を押してくださった!こんな風に繋がるなんてこの世もまだまだ捨てたもんじゃありませんよね?


新年度準備に疲れた身体に喜びが突き抜けた!


@000214
小学舘文庫化決定!海炭市叙景!やーすごい@hommamうわー!こんなときに、携帯のコードなくて電池切れだったんですよ。わーこりゃすごいわ。


こんな時にも間抜けぶりは忘れないとは…消さないかぎり記録に残っているのだ。

この同志の活躍を讃えるために、私は10日前、doshinwebにポストした。


函館出身、佐藤泰志の『海炭市叙景』が映画化に伴い、復刊が待たれていましたが、札幌市の@hommamさんの復刊を願うTwitterの発言を豊崎由美さんがRTし小学舘の佐藤泰志の後輩の編集者が偶然見て5日で文庫化を実現、10月6日刊行です。(Twitterは140字の制限があり、敬称が抜けていてすいません)

もともと記者の中にも実行委員が居たことから、このツイートの効果かどうかは分からないが、この5日後、北海道新聞に記事は載り、毎日の北海道版にも取り上げられていた。
記事は、時節柄、Twitterに注目の比重があったが、私はここで言いたい。
本間さんの佐藤泰志作品への深い理解と情熱的な愛がなければ今回の奇跡は起きなかったろうと。

@hommam
多くの方が、文庫を買って下さって、ほかの絶版も復刊されたらいいなぁ。私の願いはそれだけです。

 そしてまた海炭市色の空の下、いつもの仕事へと彼女は出かける。このシンプルな情熱の成果を本州の新聞でも取り上げてもらいたい。映画は先日ラフラッシュがあがった。
 熊切和嘉監督が函館のゴライアスクレーンの最後の姿を収めたそれは、加瀬亮小林薫南果歩谷村美月出演、世界の人達にもその優しさと寂寥が届く素晴らしさという。(音楽はジム・オールク)
これを機会にまだ眠っている佐藤作品が刊行され、翻訳もすすめばと、本間さんの活動に感動したゆえに、私は願っている。
佐藤泰志の61回目の生誕日は4月26日なのであった。
http://www.colnavi.info/上のURLから本間さんの文庫化についてのコラムが読めます。


Twitterアカウント@000214(金子彰子かねこしょうこ)の詩集『二月十四日』龜鳴屋(かめなくや)刊はこちらから
http://www.spacelan.ne.jp/~kamenaku/