遠山

気がつかずにいた
甘い草は
用意されたものだということに


外にいて
雹にあたり
喉の渇きを凌いではきたが思うほどに
一人で生きているわけじゃない


三白眼に映る
薄紫の山は
野生をたたえて
座し
二の腕に層雲を隠し持つ


唇の血の味は
そこから
流れてきたことを
知らなくてはならない
さりげない叱責ばかり
聞いていたから
耳は聞こえなくなっている

睫毛を二つ揃えながら
睡いだけではない
夜のことを
考え始めている
雲もいつしか
近々と迫ってきていた