家郷

いくたりもの雨を受け
茎の強い草が
そこらあたり
襤褸布の片々を
縛りあげたとみえる
蟻が住み着けば
ハクビシンも騒がしい
たまに
こどもらが
膝小僧を切って
窓の桟は
いっそうさびた


広報無線がながれると
このうちも
あのかども
誰が耳をたてていたはずだが
歳月をかけて
いきづく崩れは
来訪者を前に
横を向く
額から抜いた
サルトリイバラ
もらって
褪色の活動にみとれて
いるうちに
響きをたててせりあがってくる霜の月
隣からの呼び声に
とんぼがえりの
踵をかえす