信念

岡崎武志さんにご紹介をいただき、昨日から西荻窪音羽館さんに詩集を置いていただけることになりました。すでに、岡崎さんの読者の方でしょうか、秋田の方からお問い合わせがあったとのことで、音羽館さんに早速発送していただいたと、昨日連絡をいただきました。自分が始めたことながら、忙しい音羽館さんにご面倒をおかけしまして「無名な詩人のくせに何様だ!」と自分の内なる声がようやく響き、身が縮む思いです。
私という人間は経済観念が全くないために(給料日まであと一週間あるのに全預金は五千円きりです)無料で詩を配ることについて特に考えはありませんでしたが、人の手を煩わすにあたって、今後は考えを改めなくてはいけないと思いました。
自分の書いたものにプライドを持つためには、それなりの対価の意識もいりますが、かつて発表した詩もチョコレートやレコードを稼いだに過ぎず、詩人としては全くの無名からの出発ですので、「詩ができた」→「読んでもらいたいが、無名詩人の詩集など百部も読まれない」→「フリーで詩集を配る」というのは、作品に責任をもってお届けするためにもよいか思ったのですが、鳩山家じゃあるまいしどうしたって最後に無理がありました。
こんな考えなしの私ではありますが、このご縁のおかげで音羽館さんから胸を揺すぶられる言葉を頂くことができました。いろいろご親切な言葉をいただいた上に、


「本を読者に橋渡しするのが本屋の役目です」


とメールの末尾に記されたたこの二行に音羽館さんの強い使命感と固い信念を感じました。これこそ魂のこもった言葉ではないでしょうか。本当にこのたびはありがとうございました。

今回のかたちの詩集のお渡しは、11月3日までとさせていただきます。手で切って作っていますので、大量のご注文は難しく、できましたら、お知り合いの手から手へと回してご覧いただければ幸いです。
以降は、新しく編集しなおしたものを、財布と相談ながら、印刷製本はどこかに頼んでそれにかかった実費をいただきお分けすることを考えております。そのときはまたよろしくお願いします。