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くちばしの尖った
一群の消息を聞けば
太陽神の後を追うごとく
透明に重なる
南洋のかなたを渡っていくという


空の関門は年に一度あくのだろうか
かの国に
かんなづきなどないのだけれど


たくましい羽音は
骨まではりつめて
彩雲をめざす
波間のホイッスルを
聞きながら
己も
どこかの岸へと
渡れないかと目をやるが
肩胛骨は固着して
息もできない
羽ばたいた名残など
どこにあるというのだろうか



台北・胡蝶書房さんの日記を拝見して、15年前に訪れた墾丁を思い出して、詩作しました。今の季節、猛禽類の渡りが見られるそうです。 あの海とあの空の中で雄大な渡りを見たらきっと、現世のしばりだからと間違えて信じこんでいる我執の滑稽さに気づけるような気がする。おや、はからずして、この詩が30代最後の詩作となりそうです。