焼き鳥若竹

黒龍を楓のカウンターにのせて
火曜日の客は言葉すくなだった

ミイがあいさつにでる
医者の家を自ら出て
肴三昧を選んだ
あっぱれなやつ


おばさんの漬けた
特大の梅が口に転がる
その甘苦さ
日々の傷を
止まり木でなめて
治したこともある


泥酔して川からあげられ
めざめた座敷も
今はなく
おじさんもいってしまった

もう一人で
あんなこころもちで
のめないだろう


静かだったミイ
小郡では
大いに甘えて
鳴くという
おばさんを思うと
あっぱれなやつ
受話器の向こうに
呼びかけてやる