2009-11-29から1日間の記事一覧

背中の記憶

『背中の記憶』(長島有里枝 講談社)読了。長島さんの名前は、女性誌によく登場される人気写真家だと認識していたから、この回想集に一枚も写真がないことが意外だった。プロフィールにも、作者による文章による作品集は、この本が初めてと紹介してあり、数…

蕭々だより一夜を過ごすと 波音のような風が起こり枕辺によせてきた 天井に 高く低く響いた 祖父の音 耳殻から まだ見ぬ海に潜ろうとした幼き日 鉄塔が いきなりそびえ立つ この部屋から 故郷の山間まで かたちのない海の名残は肩を押さえつけ 窓をたたく さ…