捨てても増えるのは
仕方がない
生活も
思い出も
余計を詰め込んでも
恥じず

そのくせ
いつ
朽ち始めるのだろう、と
いつからか
解を待っている


悔しい荷を背負い
家路を辿るは
毎度のことであり
アメリカザリガニしか
棲まない
溝の時代は
酸欠ばかりで
美しくないはずの
記憶の地面

それは
輝いていたと
去った人は、歌う
持たなくても
幸せでいられたと


それは、嘘でもないが



紺と銀鼠の夜を
見上げ、俯き
不服と不安がなかったら
その後を
生き永らえる
ことはなかった


人が不幸と名づけた
懐かしいものたちが
いつしか
わたしの糧になり
足許から
見える景色を
絶え間なく
動かしつづける