供養

あたらしいがらくたの詰め込まれた
金魚鉢めいたその部屋
ろくに使われなかった机は姪に貰われていった


かつての
ラクガキの気概もない
かねこしょうこは
ガラス障子の向こうで
父に似た
口を結んでいる
パンドラの缶に入った
リボンの単語帳には
アソートチョコレートに匹敵する憂愁が詰め込まれていた


ああすっかり忘れていた


真剣に死にたかったかもしれないけれど
いますぐ雪を掘って
火にくべたくなるよ
あなたにチェルシーをあげる
ついでに
教えてあげよう
2010年の金子彰子は
かはたれ時のさびしさなど屁でもなくなった
そうそう
コントみたいに溺死しかけたし
こわいこわい貧乏とずうっと二人三脚なんだよ
恋は知らないうちに
身の裡で知った
アマゾン川
探しにいかなくても
大丈夫だったよ
見つけたから仕方ない
この骨を抱えて
また往くとしようか
米寿の私に二人して
初笑いを届けてみようか
きっと
忘れ去っているくせに
やたらと
菓子を呉れようとするだろうけどね
はい
それではまた