つたい歩いて

錆びついた鍵穴に
途方にくれている
やけにはっきり
雨脚が見えている
もう夜だというのに

つまも
子ももたないことは
今となっては幸いと
知るが
人と手をつなげば幸福なことだと
これもまた
記すのだろう


胎内からいでて
臍の緒をふりすてた時から何も要らないと
人は希求しているのだろうか


なにもかもあきらめたように
歩きだしてみると
霜月が
遠慮など
まるでなく
髪に足に
しみこんでくる