2009-09-04 本 細い将来しか 山峡に描けず 索漠とした 家に生まれ 手にしたものは 本しかなかった 長じては 粘土に彩られたあの街で 地縁もなく 生きていた日々 しゃべれば不興を買う 修羅のせいかつ史 貝のように生きて ざるのそこで 見つけたのは あの言葉だったろうか ながれてゆくには障りがあると それをかみちぎり 後方へと 放り捨てた つもりでも 胸をさわれば しずかな気持ちが 海の砂のように 優しくそこに確かにつもって しずんでいる