正宗白鳥

休みの終わり、3日の夜に酔っぱらって往来堂で買った深沢七郎の『言わなければよかったのに日記』を広げる。正宗白鳥に「先生は酒の・・、菊正宗の・・?」と聞く天真爛漫。「ボクはそんな家とは何の関係もないよ」と返す正宗白鳥もこの日記の中では飄然としながらも寛さのある人柄に描かれている。ブックオフに寄ったら百円本が五冊三百円だったので、目当てのほかに吉田直哉『思い出し半笑い』も手に入れたところ、中に正宗白鳥の思い出が!ラジオの「面影をしのぶ」という番組のために正宗白鳥が自ら局に出向き、復員服にリュックサック姿で「人をたずねている、名を忘れたがカタイのことだ」と通りかかった人に言うと『たずね人』の係りのところに回され、二時間そこにいて、吉田直哉に見つけだされ、なお飄々としていたとか。なるほど、誰が見ても、印象がぶれない人なんだなぁ。