マルク

あの時に
涙は涸れたらしい


古本屋 有時庵の裏は
もう駐車場だ
お前が降りられなくなった柿の木は残ってるけど


スポイトでミルクを与えた日々
お前はメロンが好きだったっけ

牛のような模様だったが
瓦に寝ころべば
しなやかで
いいおんなだったよ


一緒の布団で
寝たのは一年もない
パルポで
三日の命だった


あの時に涙は涸れてしまったらしい
足音を聞きつけて
お前が迎えてくれるような