2019-05-04から1日間の記事一覧

これはまたなんといふ味

手元にある昭和40年代~50年代の家庭料理の本に、筒井載子の「料理」は数多く登場している。しかし「料理家」としての、筒井載子の人となりを意識したのは、『テレビ料理人列伝』(河村明子著・NHK生活人創書 電子版あり)を読んでからだった。 戦争未亡人の筒…

食べさせるよろこびをつづる

ホテルのビュッフェ式の朝食には、目の前でオムレツを焼いてくれるコーナーが設けられていることがある。自分では、オムレツもどきしかできないけれど、プロが焼いているのを見ると、その手際の良さに目が離せなくなる。 といた玉子をレードルで掬い、油がよ…

コルドンブルーに何がある

テレビ番組「フレンチ・シェフ」で、フランス料理を60年代のアメリカの家庭に広めたジュリア・チャイルド。今年は生誕100年にあたり、この一料理研究家の誕生を祝う記念行事が、この夏、全米各地で盛大に行われた。アメリカ以外での知名度が、どれほどかは分…

愛される時は思うより短い

「クロワッサンで朝食を」は、イルマル・ラーグ監督の母の実際の体験が織り込まれているという。そのせいだろうか、雪深い町で、飲んだくれの元夫に手を焼きながら、寝たきりの母の介護をしているこのエストニア人のアンヌを、なぜかよく知っている気がする…