2019-05-03から1日間の記事一覧

おじいちゃんの「洋食や」

たいめい軒主人だった茂出木心護の著書『洋食や』(中公文庫 電子版あり)の解説は、詩人の高田敏子が書いている。 「茂出木さんは昭和六年中央区新川に「泰明軒」を開店されて、戦後の二十三年、日本橋に移り「たいめいけん」となった。そのお話をうかがって…

鏡花と旅行笑話

JR大垣駅で電車を待つことがあり、隣接するショッピングモールの書店に寄ると岩波文庫の『鏡花紀行文』(田中励儀編)が目についた。このところ、世間が休みの頃に仕事が立て込むのだが、今年はまとまった代休もとれないようだ。旅に行かれない憂さ晴らしに、…

おばあちゃんの料理が語ること

『さらば富士に立つ影 白井喬二自伝』(六興出版)によれば、作家になる前の白井喬二は、故郷鳥取の友人と、神田錦町に出版社を設立した。そこで、毎日原稿を書き、疲れると窓の外の「松葉屋染物店」の紺のれんを見て目を癒した。この染め物屋に京都からときど…

大統領に捧げたニンジン 

女性シェフ、オルタンス・ラボリが、エリゼ宮のプライベートシェフにスカウトされ、ミッテラン大統領に最初に出したのが、サヴォワ産キャベツとサーモンのファルシだった。「ちりめんキャベツ」と字幕にあったサボイキャベツは、日本でも最近は見ることがあ…